2025/06/21 12:53
【ぶどう生産マネージャー:三枝(34歳、アグベル歴4年) / 広報:今井 】
今井:三枝さん、本日はよろしくお願いします!
三枝:よろしく!!
今井:さて、まず始めに三枝さん、元々消防士だったんですね!
三枝:そうなんです!東日本大震災を経験して、消防士になることを志したんです。
今井:そういったきっかけだったんですね。そこから農業に転職をする事になったのはどういった理由なんですか?
三枝:そもそもアグベルの拠点が僕の地元で、農業の負の部分は身にしめて感じていたし、衰退していく環境をどうにかしたいと漠然と考えていました。消防士生活も慣れてきた頃に、地元でアグベルという会社が発起されたのを知り、自分1人ではなく組織で地元から全国へ環境を変えていける可能性があるかもしれないと思い、転職をすることを決断しました。
今井:どんな形でも人の為に活躍をしたいと思い行動を起こすあたりが三枝さんらしくて素敵ですね!でも、公務員から農業に転職するって世間一般的には反対されそうな気もするのですがいかがでしたか・・・?
三枝:もうね〜、めちゃくちゃされたよ(笑)。でもね、それ以上にこの道に可能性を感じていたし、ワクワクしてたんだよね。
今井:農業において、代表的な負の部分といえば耕作放棄地問題があると思いますが、幼少期と今を比べていかがですか?
三枝:確実に増えてるね。農林水産省のデータでは10年以内に農地が半減するって提示されてるし。山間部からどんどんリタイアしていっている印象がありますね。理由としては傾斜がきつくて、高齢化が進行するにつれて管理しきれなくなってきた方が多いんだと思います。
↑近隣の耕作放棄地
今井:三枝さん、この現状をふまえてどうしていきたいですか?
三枝:僕が目指していきたい農業は、「農業だから諦める」「農業だから仕方ない」という状況から卒業することです。今の農業は「大変なのが当たり前」「つらいのが当たり前」と思われがちですが、そうではない形にしていきたい。
今井:具体的にはどのような取り組みをしていきますか?
三枝:組織的に生産性を管理できるよう、マニュアル作りを進めています。また、毎日生産性のデータを蓄積し、ブドウの生育状況なども記録に残しています。これにより、「今やるべきこと」と「やらなくていいこと」を優先順位付けして決められるようになりますし、翌年以降もそのデータを活用して、より良いブドウを育て、より良い作業ができるように意識しています。自然に合わせて災害と付き合っていくことは前提として、その中で生産性を求めていく事で、若い世代の参入を増やし、既存の農業をバージョンアップさせながら環境を守っていきたいです。
今井:ありがとうございます。若い世代の参入に手応えありですか?
三枝:今年も新卒採用ができたし、若い力が育ってきているのも実感しているので手応えありかな!
↑自社圃場からの甲府盆地の景色(あいにく富士山は見えませんでした)
今井:アグベルの拠点である八幡エリアの土着化した農業文化や歴史的な特徴を教えて欲しいです!!
三枝:実は凄い環境なんだよね〜。この地域は世界農業遺産に登録された、日本のぶどう栽培の原点のような地域。江戸時代から続いている「甲州式ぶどう棚」は、山梨で独自に発展してきた栽培方法らしいよ。この土地と、技術が一体化した文化遺産だね。
今井:ほえ〜勉強になります。この環境で育つブドウの特徴はありますか?
三枝:日射時間は長いし、降雨量もバランスがいい。あとは山間部であれば寒暖差があって巨峰とかは色が綺麗についてくれるね。
今井:まさに地の利ですね!
↑甲州式ぶどう棚
今井:この地域のぶどうの栽培方法には特徴はありますか?
三枝:露地栽培であることと長梢剪定(ちょうしょうせんてい)だね!
今井:どちらも生産効率的には最新の技術に比べて劣るように感じますが、どういったプラスな要素があるのでしょうか?
三枝:先ほどお話ししたように日射時間が長い地域なので、露地栽培はその恩恵を受けやすいかな。ただ、台風など災害時には被害を受けやすいのでリスクと天秤にかけた栽培方法ではあるね・・・。でも、ぶどう棚の上に簡易的なビニールを張ったりすればリスクは軽減はできるので、やり方次第なところはありますね。
↑長梢剪定
三枝:あとは、長梢剪定についてだね。枝を無作為に長く伸ばす剪定方法なので、樹液の流れをコントロールしやすいですし、枝全体に養分が行き渡りやすいので糖度も風味も抜群で品質の良い栽培ができます。ただ、作業性は短梢剪定や根域制限栽培という方法などに比べると正直悪いです。拡張性はないので、できる範囲で今後も継続していきたい栽培方法だね。
今井:なるほどな〜。どんな栽培方法でも良し悪しはありますが、その環境や考え方によって変わってくるんですね。他の産地ではハウス栽培が主流ですもんね。勉強になりました、ありがとうございました!!
三枝:ありがとうございました!今後も頑張ります!